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男性における精神的な成熟、マスキュリニティなど

日本語の語用論を考えてみた

19日の火曜日に、学部の研究会で輪読本の発表をした。
読んだのは、この本

日本語語用論のしくみ シリーズ・日本語のしくみを探る (6)

日本語語用論のしくみ シリーズ・日本語のしくみを探る (6)


言語学の本です。
火曜の学部研究会では、「言語」からのアプローチも行っています。



さて、僕が担当したのは3章の「日本語語用論の展開」のところでした。
指示詞の直示・照応・想起の各用法、記憶情報と活性化、談話標識、文末の「よ」と「ね」、などについて書かれていました。
自分の研究とはあまり関係がないですが、読んでいるうちに「語用論って何?」ということがわかっていって、面白かった。



1つ疑問に思ったのは、この章で上記の用法にターゲットが当てられているのはなぜか、ということ。
この章までの部分では、日本語に特徴的な話は出てきたいなかった。
それに、3章はタイトルからして「日本語の」語用論の話をしていることは明らか。



だとしたら、「日本語の語用論に特徴的な議論がされる用法」が内容として選ばれているはず。



それはそうだと思う。
だが、なぜこれらの用法が選ばれたのか。
これら以外にも、「日本語ならではの語用論」の話ができる用法はあるんじゃないだろうか。
そういった、この章の内容の候補になる用法が他にもあるなら、なぜそれらは掲載されなかったのか。
それと、なぜ指示詞の3用法や、談話標識などの用法がこの章で扱われることになったのか。



本を読んでプレゼン資料を作るうちに、こんなふうに「なぜこれらが選ばれて、他のものが選ばれなかったのか」と考えるようになった。



さて、そんな疑問は感じましたが、この本は語り口が丁寧なのが良かったです。なので、「日本語」に限定せずとも、「語用論を知りたい」という人にはふさわしい本だと思います。