くっすのWeb文章

男性における精神的な成熟、マスキュリニティなど

MANTALKSのPodcastを題材にして男性のイニシエーションについて更に考える

今回も、男性のイニシエーションについてです。

MANTALKSというWebサイトのPodcastから

"Initiation: What Makes You A Man?"
(イニシエーション:何があなたを男性へとさせるのか?)

というエピソードを題材としました。

mantalks.com


MANTALKSはConnor Beatonという人が中心となって運営されています。
こちらのPodcastでもBeatonさんが話しています。



上記のPodcastから、トピックを大きく2つ抜き出します。
以下、「イニシエーション」とは男性のイニシエーションを指します。

現代社会ではイニシエーションが存在していない
 ー歴史的にも人類学的にも、大人の男性になることが自然発生的に起こるものだとは決して考えられていなかった
 ー現代社会では、ある特定の年齢に達したら大人の男性になっているもだと想定されてしまっている
 ーそのため、年齢に関わらず、「自分は本当に大人の男性になれているのか」という不安を持つことになる

・本当のイニシエーションとはどのようなものか
 ー本当のイニシエーションとは、男性に統合(インテグレーション)、および全体性(ホールネス)をもたらすものである
 ーイニシエーションによって統合と全体性を得ることで、確立した自己と自信を持って社会や世界の関係性に戻って行ける
 ー現代社会では、このようなイニシエーションが存在していないのにも関わらず、少年は自動的に大人の男性になるものだと捉えられてしまっている。そして、女性と良い関係を築くことも、良い父親であることも良い夫であることも、良いリーダーであることも、勝手にできるようになっていくものだと捉えられている。それは誤りである
 ーイニシエーションの習慣を何らかの形で取り戻すことが必要である



以下、私が感じたことと考えたことを書きます。

まず、「現代社会ではイニシエーションが存在していない」ことに関して。

ここでは、やはり、
「歴史的にも人類学的にも、大人の男性になることが自然発生的に起こるものだとは決して考えられていなかった」
ということに注目したいです。

7月16日の記事で言及したビダルフの著書でも同様のことが書かれていました。Beatonも、このPodcastではこの点を強調して話していると感じられます。

私自身も、「大人の男性になる」とは、単に年齢だけの話なのだ、とずっと捉えていました。
本当の意味で男性が成熟した大人となるには、周囲の男性からの適切なサポート、適切な介入が必要である。今はそのように感じています。




次に、「本当のイニシエーションとはどのようなものか」に関係して。

ここは、「本当のイニシエーション」について、まとまった説明がなされていて良いなと感じました。
キーワードは、統合(インテグレーション)と全体性(ホールネス)ですね。この2つが中核的な要素なのだ、と説明をするなら、男性のイニシエーションがどのようなもので、なぜ重要なのかを理解しやすそうです。

現代に生きる男性にとっては統合も全体性も十分に手に入れられていないと私には感じられます。
本質的に重要なことは何かを考えるのではなく、表面的なことだけを、他の人が見ている時にだけ上手くやってみせる。課題解決とはそもそもそのようなものだ。そのような認識が、現代の男性の内に存在しているような気がします。

多くの男性が、精神と心と魂との統合を実現できておらず、それによって全体性も得られていないのだとしたら。
そうだとしたら、「本質的に重要なことは何かを見極めて、それに向かって行動を起こす」ことができる男性がほとんどいないのは当然である。そう言わざるを得ないでしょう。

決して、現代の男性たちが悪いわけではないでしょう。
成熟した大人の男性になるための適切な方法が知らされていないし、適切なサポートも介入も、存在しているとはとても思えないからです。



イニシエーションを何らかの形で現代に取り戻す。
私にも、これはとても重要であると感じられます。

そして、より年長の男性にとっても、年齢に関わらずイニシエーションのプロセスを得られるようにする、という発想も重要と言えます。

適切なイニシエーションのプロセスが得られなかったのは、決して本人のせいではない。
自分が本当に成熟した男性であるのか確信が持てないことは、決して本人のせいではない。

年長になったとしても、イニシエーションのプロセスを必要と感じられる人には、それが得られるようになっていてほしい。
私はそう願います。




今回もお読み下さり、どうもありがとうございました。